追記 2018/7/30
らっきょう植付機の開発
経緯について
大正の初期から生産が始まった砂丘地でのらっきょう栽培は、近年テレビ等で血液サラサラ
効果等が扱われた事で需要が増えたのですが、ラッキョウの栽培は最も暑くなる8月から9月
の炎天下で種ラッキョウを手作業で植え付ける作業を高齢者で行っている事もあり、過酷な
労働による後継者不足や、日射病などが問題とされています。
植付の様子 ←(嫁殺しってスゴスギ・・)
しかし、稲作などよりは単位面積当たりの収穫高(70万円ぐらい?/反)が高い事や、名産品として
裾野の大きな製品材料として大切な産業となり鳥取県では年間3500トンの収穫だそうです。
砂丘地の広い面積を利用して行われる面積は、福部だけでも120ヘクタール(120町=1200反)ですか
ら、単純計算では8億円超の農産物が毎年 水・砂・太陽・労働で生み出されるのは、自然の恵みに
寄り添った素晴らしい事業です。
大手農機具メーカーや大学の研究開発事業として幾度も挑戦された歴史が有りますが、大規模農業に
利用できるシステムは、未だ開発する事が出来なかった過去を持つ難易度の高いシステムでした。
山陰合同銀行主催のコンペ方式での審査や、鳥取県等の助成事業として進められる可能性が高い為、機械装置
の構造やアイデアを事前に公開する必要がある事もあり、普段はIT機器や計測装置の開発を行う(株)ユニプランが行い、特許申請等、将来の展開に備えた後、コンペに勝ち残り、システム開発開始となりました。
JA鳥取いなば様、株式会社コーク様による、鳥取県の補助事業採択の結果すすめられた事業です。
しかし、他社の特許や、農産物固有の問題などで2年を超える開発期間や試作の繰り返しを必要とし難易度の高い開発となりましたが、6月に基本システムが稼働し実運用の段階となりました。
【技術課題】
難易度をしめす、過去の開発例としては特許情報で下記リンクリストがありますが、農産物の特徴である定型寸法を持たない事や圃場が丘陵地である事、芽を上向きの姿勢で植える必要のある特性等の多くの困難な課題がある事で、過去に取り組みを行ってきた多くの大手農機具メーカーも頓挫した歴史が有り、試行錯誤を繰り返しの開発となりました。
現段階に至っても、市場が小さい事や、農業に対する社会の価値観の低さから、産業の危機に対する支援制度の利用も容易では無いようです。
技術課題とは、農作物の生科学的知識,機械設計,電子制御回路,制御ソフト,農家のニーズや制度の利用方法等、多岐に渡る課題を同時に解決する必要のあるものでした。
【解決のきっかけ】
特に、この手法の根幹部に位置する、生分解のテープの解析には長期実験が必要であり、困難な質の課題解決には、本プロジェクトから離れた多くの外部協力者に親切な対応を頂き、頓挫する事無く繰返し実験等で解決が行われ非常に感謝しています。
特許申請のみ
イセキ テーブル式 JPA_2011167156(取下)
三菱 テープ方式 JPA_1993076214(取下)
原田精工 テープ製造装置 JPA_2011041538(取下)
文明農機 にんにくのテープ装置 JPA_1997107726(取下)
【本プロジェクトの概要】
web上に公開されている開発計画の概要
http://www.fmric.or.jp/6sapobank/support/2011/06takeuchi.pdf
↑「GO-YEN.netしまね」と記載された部分を、ユニプランと置き換えてご覧ください。
https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1237439583019/index.html
ユニプランが出願済の元となる、初期出願特許
その他資料
現在の開発状況 写真と動画
(クリックするとアルバムのページで写真や動画がご覧いただけます)
現在の開発状況 3D-CAD図
テーピング装置外観
冷風乾燥機 外観
7条植付外観
植え付け能力について
7条植え付け機が装着されたトラクターCG
時速4Kmで走行の場合7cmピッチでテーピングされたラッキョウは7条同時の植え付けが行われると、
6700個/分 となり1個/2秒の作業者の200倍速度となる。(あくまでも仮定による机上試算)
【ひとりごと1】
すでに、「JA鳥取いなば」や「産業支援センター」の取材をもとに公開されている、開発内容の
情報では当時、支援センターが支援していたものづくりグループの後継グループである、GO-YEN.netの
グループ名が製造グループとして記載されてます。
残念ながら、そのグループでの開発が不可能と判明し、別グループの連携で開発をすすめましたが、市場規模
に対応した体制構築が急務です。
テーピング植え付けによって期待される効果
【予想メリット】
@日陰の環境でテーピング作業が可能な為、軽作業での植え付け準備が可能。
A植え付けを行う8月中旬に短期間の植え付けが可能 過酷な炎天下での作業が少ない
B従来の240mm幅での植え付けから150mm付近の植え付けピッチが可能となる。(予想)
単純計算では、1.6倍に収穫量(240/150)が増加の可能性あり
C植え付けピッチが均一(70mm)となり、倒姿勢が少ない。
D踏みつけたり、ピッチがばらつく(密着やピッチ抜け)の可能性が低い。
【予想デメリット】
@テーピングに必要となる資材コスト(でんぷんのり、テーピング紙)
A根付らっきょうと同様の前処理作業が必要
Bテーピング機,植え付け機の設備費用
C種らっきょうの収穫から、植付時期までの期間にテーピング作業者の確保
Dテーピング紙(セルロース)の土壌への影響や生分解の影響確認(数度の実験で良好確認済)
【ひとりごと2】
なぜ、長期にわたってこのような過酷な労働を改善できないまま続いてきたのか?
残念ながら、明確な答えは無さそうですが、開発の過程で、いくつもの納得できる原因に
気づくチャンスがありました。
圃場が大きく傾斜の多い丘陵地であり、微細な砂(セラミック粒子)が飛ぶ環境下で、精密な機構を
有する、自動化が困難である事、らっきょうの特性が特殊であり、特に植え付けピッチが7cm畝幅24cmと
単位面積当たりの植え付け数が大きい為、落下方式や、電動車のような人が圃場で種球を供給する
手法では、炎天下に長時間の作業が必要なため問題点の重要部である「炎天下の過酷な環境」に
対する対策にはならない点。(整理して考えれば当たり前であるが、事前処理には否定的な声も多い)
らっきょうの栽培自体が、稲作のように広範囲で行われない為、自動機の市場が小さく、開発費を投じても
回収が困難であり、大手メーカー等の管理費では採算性が低い。
過去に行われた開発事業も、研究成果の蓄積体制が低く、ニーズの明確化や、問題点の整理さえも
開発ごとに最初から行う必要が有った。
現在でも庭先のプランターで、多種の紙の生分解試験や、種球をカットしたサンプルの生育比較を行う
実験を3年間行っているが、公設試等と連携体制の低さが悔やまれ、今後の展開には改善が必要と
考えます。
多くの人の協力を集めて、事業を成立させるのが事業体の最重要部分であると思います。
生まれたばかりの新しい農法が、将来にわたって定着するには、まだいくつもの試練となる課題を解決し、
安定して使える道具に育てる体制の維持が必要と思います。
文責 (株)ユニプラン 高橋正明
【今後の展開(課題)】
実利用を行い、新しい農法を確立するには、継続した開発を行い、磨かれた製品や資材の提供体制
を作り上げる必要があり、製品としての販売によって得られる対価をその開発の原資に使う事が考えられ
ますが、市場が小さい事で個企業での投資は問われそうです。
@テーピング紙,でんぷんのりのローコスト化
A種らっきょう芽と根のカット自動化(治具レベル?)
B設備購入費用と、メンテ知識習得費用
C設備量産体制の整備によるローコスト化
Dにんにく、むかご、わけぎ、イモ類 等の作物への利用の開拓
【次ステップでの販売モデル 1セット構成】
○植え付け機 1台
○テーピング機 2台
○冷風乾燥機 1台
○オイルレスコンプレッサー 1台
○ツヅラ箱 300個
○リール3個
追加関連動画
ニンニク植え付け機 ヤンマー
植え付けのピッチが広いので、そこそこ早い
らっきょう移植機 イセキ農機
2013/9 圃場写真 みのる産業
台車に乗って人が植える(TV紹介)
追加関連らっきょう生産関連情報リスト
2014-8-25 追加お問い合わせは mtaka*uniplan.gr.jp
注)*を@に変えてメールで問い合わせをお願いします。
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July 2014 公開
最終更新 2018/7/30
株式会社 ユニプラン
島根県松江市東出雲町揖屋2728-22
TEL 0852-53-0511 FAX 0852-53-0512
http://uniplan.gr.jp
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